openSUSE

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openSUSEは、SUSE社などが支援するコミュニティー「openSUSE project」によって開発されている、オープンソースのLinuxディストリビューションである。

openSUSE
Screenshot of openSUSE Leap 15.1 with the KDE desktop environment
デスクトップ画面(Leap 15.1 KDE)
開発者 openSUSE project
系統 openSUSE
開発状況 開発中
初版 1994年3月29日
最新安定版 Tumbleweed:ローリングリリース
Leap:15.3 / 2021年7月9日
アップデート方式 Zypper, YaST
パッケージ管理 RPM
カーネル種別 Linux
デスクトップ環境 KDE, GNOME
Tumbleweedのみ:Xfce
ライセンス GNU GPLなど
ウェブサイト https://www.opensuse.org/
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概要[編集 | ソースを編集]

openSUSEは汎用のLinuxディストリビューションであり、ウェブページの閲覧、デジタルコンテンツの再生・制作、オフィスソフトなどのGUIを利用したデスクトップ用途、CUIを中心としたサーバ運用などさまざまな用途で利用することができる。

以前はSuSEが日本に進出していなかったため日本ではあまり普及していなかったが、SUSE Linux 9.1から日本語版もリリースされ、現在は標準で日本語での表示や入力が可能である。

openSUSEには、固定リリースのLeapとローリングリリースのTumbleweedがある。
openSUSE Build Service(OBS)を通じて提供されるコードを元にopenSUSEの開発が行われている。

同プロジェクトはディストリビューションやツールの提供に加えて、ポータルサイトをコミュニティのために用意している。 コミュニティはドキュメント・アートワークなどの作成について公開メーリングリストやIRCを通じて議論する。

Geeko(ギーコ)と呼ばれるカメレオンがマスコットである。 geekとgecko(ヤモリ)をかけた名称で、一般公募で決定した。

特徴[編集 | ソースを編集]

openSUSEにはYaSTという設定ツールがあり、ネットワークやユーザー、セキュリティなどに関する設定と構成管理をGUI上、またはncursesのフロントエンドにて行うことが出来る。

Leap 15.1で動作するYaST(Qtインターフェース)


デスクトップ環境はかつてはKDEが標準であったが、現在ではインストール時にKDEGNOMEXfceから選択できる。ディストリビューションに同梱されていないオープンソースのパッケージは openSUSE 公式ソフトウェアページよりブラウザから1クリックでインストールできる。

開発者への特徴としては、openSUSE projectはopenSUSE Build Service(OBS)というソフトウェアパッケージのビルド環境を提供していることが挙げられる。これはopenSUSEは勿論、他のディストリビューションやアーキテクチャを越えたクロスプラットホームでのビルドとパッケージ公開を可能にするウェブサービスである。
openSUSEは仮想機械、例えばXen、KVMとの相性が良く、Xgl、AppArmor等の開発でも知られている。

歴史[編集 | ソースを編集]

1990年代、Slackware系はS.u.S.E. GmbH (Gesellschaft für Software- und System-Entwicklung) がドイツ語に大幅にローカライズしたインストールプロセスによってドイツ語圏において多大な人気を得ていた。
また、S.u.S.E. GmbHはLinuxの50枚以上にもなるフロッピーディスクを1つのパッケージにまとめて販売していた。これはSlackware独自のインストールツールをS.u.S.E. GmbHが開発したYaSTに置き換えていた。

1994年4月から、S.u.S.E. Linuxのパッケージは既に70枚を越えていたフロッピーディスクに代わり、CDにて配布されることとなった。

1996年5月、S.u.S.E. GmbHはSlackwareから独立した独自のディストリビューションを、S.u.S.E. Linux 4.2として公開した[注釈 1]

SuSE Linux 6.1からは、それまではi386のみだったサポートするプラットフォームにDECによるAlphaを、SuSE Linux 6.3からはPowerPCを加えた。その後、AMD Athlon 64、intel Itanium、IBM S390(Z-Series)についても対応が行われた。

SuSE Linux 7.0から9.1までは、一般ユーザにはプログラム環境が限定された廉価版のPersonal Versionと、サーバ・開発ソフトウェアが付属するProfessional Versionという、2つのバージョンが用意されていた。Professional Versionには、管理ハンドブックが含まれていないPersonal Versionからのアップデートパッケージも用意されていた。
また、学生向けにCampus Version(中身はProfessional Versionと同じ)が割引価格で販売されていた。

SUSE Linux 9.1からは、パッケージはSUSE社を買収したNovell社によって販売されるようになり、YaSTがGPLにおいて公開された。

SUSE Linux 9.2以降、KDEもしくはGNOMEデスクトップで利用可能な独自のLive CDが配布されるようになった。また、ISOイメージで構成されたディストリビューションがダウンロード可能になった。

Novell社によるSUSE社買収後、SUSE Linuxは100%オープンソースを目指して開発体制をコミュニティベースに移行していき、SUSE Linux 10.0以降複数あったパッケージは統合されて1つとなり、開発はopenSUSE projectが進めることになった。openSUSE 10.2で名称がSUSE LinuxからopenSUSEに変更された。

2015年末からopenSUSEは、より保守的な固定リリースでSLEに基づいたLeapと、ローリングリリースで最新安定版のパッケージを統合することに注力しているTumbleweedに分けて提供されるようになった。

2011年4月27日にはThe Attachmate GroupがNovell社を買収、2014年11月20日にはThe Attachmate Groupとマイクロフォーカスが合併、2019年3月15日にはSUSE社がEQT Partnersに売却されたが、openSUSEの開発方針に大きな変更は加えられていない。

リリース[編集 | ソースを編集]

S.u.S.E. Linux(Slackware)[編集 | ソースを編集]


バージョン リリース日 Linuxカーネル
4/94 1994年3月29日 1.0
7/94 1994年7月 1.0.9
11/94 1994年11月 1.1.62
4/95 1995年4月 1.2.9
8/95 1995年8月 1.1.12
11/95 1995年11月 1.2.13


S.u.S.E. Linux[編集 | ソースを編集]


バージョン リリース日 サポート期間 Linuxカーネル
4.2 1996年5月 - 2.0.0
4.3 1996年9月 - 2.0.18
4.4 1997年4月 - 2.0.23(2.0.25?)
4.4.1 1997年4月24日 - 2.0.28
5.0 1997年7月 - 2.0.30
5.1 1997年10月 - 2.0.32
5.2 1998年3月23日 2000年 2.0.33
5.3 1998年9月10日 2000年 2.0.35


SuSE Linux[編集 | ソースを編集]


バージョン リリース日 サポート期間 Linuxカーネル
6.0 1998年12月21日 2000年 2.0.36
6.1 1999年4月7日 2001年 2.2.6
6.2 1999年8月12日 2001年 2.2.10
6.3 1999年11月25日 2001年12月10日 2.2.13
6.4 2000年3月9日 2002年6月17日 2.2.14
7.0 2000年9月27日 2002年11月4日 2.2.16
7.1 2001年4月21日 2003年5月16日 2.2.18 / 2.4.0
7.2 2001年6月15日 2003年10月1日 2.2.19 / 2.4.4
7.3 2001年10月13日 2003年12月15日 2.4.9
8.0 2002年4月22日 2004年6月30日 2.4.18
8.1 2002年9月30日 2005年1月31日 2.4.19
8.2 2003年4月7日 2005年7月14日 2.4.20


SUSE Linux(9.0 〜 9.3)[編集 | ソースを編集]


バージョン リリース日 サポート期間 Linuxカーネル
9.0 2003年10月15日 2005年12月15日 2.4.21 / 2.6.1
9.1 2004年4月23日 2006年6月30日 2.6.4
9.2 2004年10月25日 2006年10月31日 2.6.8
9.3 2005年4月16日 2007年4月30日 2.6.11


openSUSE[編集 | ソースを編集]

openSUSEリリースのタイムライン
名称 バージョン リリース日 サポート期間 Linuxカーネル
通常 Evergreen
SUSE Linux 10.0 Prague 2005年10月6日 2007年11月30日 - 2.6.13
10.1 Agama Lizard 2006年5月11日 2008年5月31日 - 2.6.16
openSUSE 10.2 Basilisk Lizard 2006年12月7日 2008年11月30日 - 2.6.18
10.3 2007年10月4日 2009月10月31日 - 2.6.22
11.0 2008年6月19日 2010月6月26日 - 2.6.25
11.1 2008年12月18日 2011月1月14日 2012年4月 2.6.27
11.2 Emerald 2009年11月12日 2011年5月12日 2013年11月 2.6.31
11.3 Teal 2010年7月15日 2012年1月16日 - 2.6.34
11.4 Celadon 2011年3月10日 2012年11月5日 2015年7月 2.6.37
12.1 Asparagus 2011年11月16日 2013年5月15日 - 3.1.0
12.2 Mantis 2012年9月5日 2014年1月15日 - 3.4.6
12.3 Dartmouth 2013年3月13日 2015年1月1日 - 3.7.10
13.1 Bottle 2013年11月19日 2016年2月3日 2016年11月 3.11.6
13.2 Harlequin 2014年11月4日 2017年1月16日 - 3.16.6
openSUSE Leap 42.1 Malachite 2015年11月4日 2017年5月17日 - 4.1.12
42.2 2016年11月16日 2018年1月26日 - 4.4
42.3 2017年7月26日 2019年6月30日 - 4.4
15.0 2018年5月25日 2019年12月3日 - 4.12
15.1 2019年5月22日 2020年11月22日 - 4.12 plus 46251
(4.19から5.xの変更を含む)
15.2 2020年7月2日 2021年11月 - 5.3
15.3 2021年7月9日 2022年11月 - 5.3
openSUSE Tumbleweed ローリングリリース - - - -


派生ディストリビューション[編集 | ソースを編集]

  • SUSE Linux Enterprise Desktop
    テスト済みのopenSUSEをベースにして安定させた、商用のデスクトップ向けディストリビューション。
  • SUSE Linux Enterprise Server
    テスト済みのopenSUSEをベースにして安定させた、商用のサーバー向けディストリビューション。
  • AlexandriteOS
    従来のレガシーなLinuxデスクトップの欠点を解消することを目的に開発されている、openSUSEをベースとした日本のLinuxディストリビューション。


関連動画[編集 | ソースを編集]


openSUSE Leap 15.2: 実は初心者向け!?ヨーロッパで人気の高い高品質 Linux ディストリビューション。- PC-FREEDOM

注釈[編集 | ソースを編集]

  1. バージョン番号は、ダグラス・アダムズの小説銀河ヒッチハイク・ガイドに登場する「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」に対して答えられた「42」から。


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